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| u Column #002 有線メディア VS BSデジタル放送(2001.7.10) |
| 今後インターネットが広帯域化してきたときに、インターネットあるいはブロードバンドネットワークを活用した有線メディア VS BSデジタル放送という、これまでにはない本格的な戦いが勃発することが予想される。最近出てきた新聞や書籍を読むと、様々な憶測の元に将来予測がなされているが、2000年12月から開始予定のBSデジタル放送は現時点でその成功は未知数となってきている。
インターネットを中心とするネットワークが新しい双方向メディアを創造するということを持論とする私にとっても、この戦いは興味深い。私一人でBSデジタル放送と戦いを挑むつもりは毛頭ないが、現時点で私が知る限りBSデジタル放送にはいくつかの弱点が見受けられる。 まず第一に、 双方向メディアとして機能するのか?という疑問だ。テレビ局各社は、BSデジタルの持つ双方向性を十分に活かしたコンテンツを用意していく方針のようだが、果たしてこのコンテンツにどれだけのユーザーが興味を示し、実際に参加してくるのかが今のところ見えていない。テレビは従来、言葉は良くないが「ボーっとしてみるもの」というイメージが強い。集中して積極的に鑑賞するのは映画や大事なスポーツの試合ぐらいで、あとの番組は力を抜いてリラックスした状態で観るのが基本だろう。それがBSデジタル放送になるとどうなるか?例えば視聴者参加型のクイズ番組を作ったとした場合には、視聴者はその番組の放映時間中、テレビの前に座り釘付けになりながら問題の解答を考えつづける必要がある。とても「食事をしながら」とか「友達と話をしながら」といった「〜ながら」の楽しみというものはない。視聴者がもっとも時間がある時間帯が一日のうちどれだけあるか?ということも考えていく必要がある。例えば高校生でも受験勉強をしているような学生は、当然そんな時間もないということになる。ビジネスマンが平日の夜に真剣にテレビを見ながら時間を過ごすというようなことも考えづらい。やはりターゲットとなる層と、そこに提供されるコンテンツは重要な要素となるだろう。 第二の弱点は、放送メディアのビジネスモデルである。放送メディアの多くは、広告収入に大きく依存している、しかもこの広告スペースに関しては、大半は広告代理店に握られ、これまで放送局が自ら広告スペースを使ったプロモーションの提案等を直接企業に対して行ってこなかった。つまり、広告枠のイニシアティブを広告代理店に握られてしまっているのである。これは双方向のメディアにとっては大きな弱点となるだろう。なぜなら双方向メディアの売りは、参加型のコンテンツを創ることだけではなく、消費者とより直接的なコミュニケーションを図ることが可能となるという点にある。BSデジタルの可能性のひとつとして、全国のユーザーに対して番組を提供し、その中で従来のテレビ放送よりも深い形で消費者とのコミュニケーションが取れるようになるという点が挙げられている。このため、企業の宣伝広告媒体としての価値は従来の放送メディアに比較して格段に高まると言われている。この予測を現実のものとするためには、放送局は従来のような広告代理店に依存した体質から脱却し、自らそのような提案を企業に対して行っていき、企業の広告宣伝ニーズを充足するようなサービスが求められていくのではないだろうか? 第三の弱点は、番組予算の獲得が現状では難しいという点である。番組の予算は当然のことながら、その番組に対してスポンサーがついて初めてペイする。つまりBSデジタル放送を観る視聴者が増えて初めて広告媒体としての価値が高まり、その価値に対して企業はスポンサーとしてお金を支払うわけである。現状ではその数が未知数のため、広告収入が期待できない中で番組予算を当てて良質な番組を提供するという状態にあるのが現実だ。この番組予算を各局がどこまで勝負していけるかが問題である。先進的な番組を作るのにはそれだけお金がかかるのであるが、その投資負担をしながらやっていきつつ、地上波放送も維持するという二束のわらじ状態をどこまで続けていけるだろうか?それまでにBSデジタルを視聴するユーザーが爆発的に増大するであろうか? 第四の弱点は、技術面である。BSデジタル放送用に新しく使用されるBML言語を知っている技術者が絶対的に不足している状況であるということがひとつと、チューナーに接続される電話回線をユーザーがどこまで使うかということである。現在の通信方式では当然のことながら電話料金が発生する。一時間の番組を観ながら双方向のサービスを受けていた場合には一時間分の電話料金が発生するのである。3分10円として1時間で200円のコストである。これを消費者が支払うとは考えづらいし、このお金はテレビ局には入ってこない。入るのは通信会社である。おそらく機能面でこのようなことがおこらないよう制御する機能はついているはずであるが、それでも通信料金という問題は避けては通れないはずである。 以上、ざっと考えただけでもいくつかの弱点が挙げられるのが現在のBSデジタル放送なのである。みなさんはどのようにお考えだろうか? |