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u Column #010  ブロードバンド放送ビジネスの今後(2001.12.1)
ブロードバンド・ビジネスが今後進展していくかしないかを予測するような報道が多くなってきて いる。ブロードバンドを特集する専門雑誌が登場するくらいに、過熱してきている面もあるが、 実際の現状はどうなのであろうか? 消費者の反応を見るためのレポートが下記サイトにあった。

・ブロードバンドコンテンツ/サービスへの期待  

http://japan.internet.com/research/20011126/1.html

このレポートにあるように、まずはインフラ面からブロードバンド化が進展してきていることが わかる。特に常時接続を望むユーザーからブロードバンドへの進化が始まっているというのは 面白い結果である。消費者は映像配信等のサービスを受ける為にブロードバンド化しているのではなく、常時接続環境が欲しい為にブロードバンドサービスを導入しているのである。

インフラが普及した場合に、現在のメディアビジネスの行方はどうなるのか? 放送業界のデジタル化への動きは、加速しつつあるが、双方向化やインターネット対応等の影響は どんな形で市場に影響を及ぼすのか?今わかっている情報を基にして、今後の方向を模索してみようと思う。

まずは、海外の動きを見てみよう。


■アメリカのブロードバンド化の動き

アメリカのブロードバンド化の動きは、日本とは大きく違う。地域通信会社の競争が激化した結果、 アメリカの通信料金はひところと比較して、上昇傾向にある。日本の通信料金と比較しても、日本の ほうが安い状態になりつつあるのが現状である。アメリカではCATVが普及しており、CATVインターネット がかなり普及したが、CATV設備の老朽化とサービスのブランド力の無さから、ADSLが追い上げる 展開を見せている。また、常時接続環境が普及しているかに見えるアメリカでも、ローエンドユーザ は、料金負担の増加を嫌って、ダイヤルアップにとどまっているのが現状だ。更に、日本でスローガン となりつつあるFTTHに関しては、全く普及の見込みがないのが現状だ。 また、日本と比較して決定的に違うのは無線通信の分野である。無線通信の分野ではアメリカは 大きな遅れをとっている。日本では2001年10月から第3世代携帯電話サービスが商用化され、NTTドコモ がFOMAサービスを開始したが、アメリカではまだそのような動きはない。モバイル分野での世界標準の 争いは、日本勢やヨーロッパ勢が参加しているが、アメリカはそのような動きの中心にいるような感じ ではないのが現状だ。

・小池良次のアメリカ情報通信  

 http://www.ryojikoike.com/

■ブロードバンド先進国−韓国の動き

韓国では、早くから高速通信網の整備という国策が発動されていたため、現在ではCATVよりもADSLの 普及が進んでいる。また、コンテンツに対する法規制がもともと強かったということもあり、 国民のコンテンツに対する飢餓感をインターネットが一気に開放に向かわせたという点も、 ブロードバンドの普及の一つの要因となっていることは否定できない。実際に、韓国では 700チャンネルを越えるインターネット放送局が存在している。また、戒厳令のもとで、国民の認証 番号制度が敷かれたため、国民はインターネット上でID番号を打ち込むと本人の認証が可能となる というECの根本的な基盤が既に出来上がっていたという点も大きな要因となっている。 ただし、韓国もFTTHへの転換には苦慮している。

・韓国ブロードバンド事情(ZD-Net)

  http://www.zdnet.co.jp/broadband/0108/10/korea_top.html

■ヨーロッパの動き

CATV・ADSLともに普及が進んでいない。だが、加入者線の開放が義務付けられた為、今後は普及が 予想されている。FTTHに関しては実験段階であるため、本格導入は相当先になると思われる。 次に、日本の動きを見てみよう。


■日本のブロードバンド・インフラ整備について

日本のブロードバンド・インフラの整備のスピードは、ここ最近のブロードバンドサービスの市場 への投入状況や、浸透スピード、市場価格の推移などを見ていると、世界と比較しても遜色のない 水準にまで到達しつつあると考えることが出来る。 折りしも、このコラムを執筆している2001年12月8日付け日本経済新聞の一面の小見出し記事に、 NTTが2005年を目処に超高速光通信網を実用化すると出た。この中でNTTは、従来からの3000人のスタッフ による研究開発体制を維持し、2005年には、2時間の映画データを70万世帯に一秒で送信する技術や、 現在のi-modeの3000倍の通信速度を誇る3.5世代携帯電話技術・光メモリーカードの実用化等、光関連 技術を強化していく考えを発表した。 当然ながら、NTTの技術開発力は世界的に見ても非常に高いし、日本の競争力の源泉であることに 変りはない。そのNTTが今後光関連技術にシフトしていくというのであれば、期待できることも 多いだろう。NTTは、このような次世代技術開発以外にも、ブロードバンド・インフラの進展のために、 様々なサービス開発を進めながら現在に至っている。 そのNTTグループのブロードバンドビジネスへの取り組みは下記のようなところで、実際に具現化 しつつあるようだ。

・NTTコミュニケーションズ  

 ストリーム配信サービス http://www.streamnavi.com/

・NTTブロードバンドイニシアティブ  

 BROBA(ブローバ)  http://www.broba.cc/

・NTTデータ  「株式会社シティチャネル」設立

  http://www.nttdata.co.jp/release/2001/120400.html

・NTT−X  

 ブロードバンドgoo開設  http://bb.goo.ne.jp/

・OCNブロードバンド  

 http://broadband.ocn.ne.jp/

・テレビ東京ブロードバンド  

テレビ東京とNTT東日本の共同出資会社。テレビ番組コンテンツのインターネット配信等を手がけていく。 http://www.tx-bb.com/

・NTTドコモ  

 FOMAサービスの開始やiモーションのスタート http://www.nttdocomo.co.jp  

上記のようなサイトで、実際にコンテンツ配信が行われているが、ネットワークの現状としては、モバイル分野を除けばADSLの普及が一般的で、画質もVHSレベルである。また、コンテンツの著作権の問題が完全にクリアになっていない ことや、配信方式や圧縮方式の技術の統一化等の問題が残っていることもあり、まだ本格普及という 形にはなっていない。 また、NTTのBフレッツサービスも提供開始となったが、CATVインターネットとの差別化が出来て いない。場所によってはCATVインターネットのほうが金額が安い可能性もあるため、NTTとCATVの 競争が今後本格化する見込みだ。また、ブロードバンド回線が家庭に届いたときに必要になると 言われているSTB(セットトップボックス)については、各メーカーが製作中のようであるが、 まだ具体的な形としては製品化されていない。おそらく、放送のデジタル化やCS放送等との兼ね合い や、機能面などでどこまでが現実化するかを見計らっているところかもしれない。このあたりは 松下やソニーの情報家電戦略と密接に関わってくるところだ。

また、アメリカでは、コンテンツ供給はハリウッドからはじまるが、日本のインターネット上への コンテンツの供給状況は、NHKや民法キー局、ゲーム制作会社、音楽メーカー等から成り立っている ことも、業界構造を考える上で大きなポイントとなる。アメリカでは、ひとつのルールで業界構造 を整理することが出来るが、日本の場合、様々な業界構造が複雑に絡み合っていることが多々あるため、 権利処理団体が仲介する必要もある。


■映像・音楽配信プラットフォーム提供会社

インフラ面を通信会社が提供すると、消費者のアクセスラインがブロードバンド化される。 そうなると、次に必要なのは、そのネットワークに流し込むコンテンツと、コンテンツを効率よく 流し込むツール類である。コンテンツそのものについては、デジタル化された映像や音楽を制作 することになるが、配信のツール類は様々なものがある。また、CDN(コンテンツ・デリバリ・ ネットワーク)といった新しいコンテンツ配信専用ネットワークの構築も進んでいる。 CDN提供会社については下記のような会社がある。

・BROBA(NTTブロードバンドイニシアティブ)  

 http://www.broba.cc/

・ストリーミング配信サービス(Jストリーム)

  http://www.stream.co.jp

・Biglobeストリームサービス(NEC)

  http://www.biglobe.co.jp/

・PrimeStage(NTT-ME)

 http://www.primestage.net/

・CDNトータルソリューション(NTT-PC)

  http://www.nttpc.co.jp

・ブロードバンドポータルプラットフォーム(NTTコムウェア)

  http://www.nttcom.co.jp

・ストリーミングオンデマンドチャンネル(IIJメディアテクノロジー)

  http://www.iij-mc.co.jp/

・Freeflow Streeming (アカマイ・テクノロジーズ・ジャパン)

  http://japan.akamai.com/

・@SCREEN (ストリーミング・メディア・コミュニケーションズ)

  http://www.streamingmedia.co.jp/

・Motion Viewer (ソニー)

 http://www.sony.co.jp/

CDNとは、ネットワーク上に多数のキャッシュサーバをおき、コンテンツ配信専用のネットワーク を構築しようというもので、そのコンテンツ配信サービスをプラットフォームとして提供する 会社と、ポータルサービスも含めたサービスを提供する会社とに分かれている。 アメリカでは、アカマイ・テクノロジーズや、スピードエラ等の会社がサービス提供をしている。 本格的なインターネット放送局としては、freevers のクリエイティブのページでも紹介している b-there TV などがイギリスでは有名。国内では、

・Hi-Ho Media TV  http://media-tv.hi-ho.ne.jp/

・キートン ライブガイド  http://www.keaton.com/

・Real guide http://realguide-jp.real.com/

・有線ブロードネットワークス BROADGATE01 http://ftth.gate01.com/default.asp

【参考レポート】 ・ブロードバンドで「放送」と「通信」は融合しない  http://www.zdnet.co.jp/broadband/0112/07/internetweek_bb.html

【コンテンツ供給ベンダ】

・MTVジャパン  http://www.mtvjapan.com/top.html


■ブロードバンドの普及のためにやるべきこと

これまで見てきたように、ブロードバンドネットワークの普及のために、かなりの数の企業が この分野に参入してきていることがわかる。この分野の企業は、それぞれ独自のビジネスモデル をもって参入してきてはいるが、実態としてはコンテンツの配信を主要なビジネスにしているのが 現状である。 ところが、これだけの数のコンテンツの配信が行われていると、当然のことながらエンドユーザ は分散化される傾向にあり、なおかつ相当数のアクセスがないと商売として成り立っていないという 厳しい現実がある。このような状況の中で、各プレイヤーがWin-Winの関係を築けるようにしていく ためには、どのようにすればよいのだろうか?

まず、通信会社であるが、通信会社はインフラの構築に特化すべきか?答えは、イエスだ。 ただし、技術的な仕組み上、ポータルを自社でコントロールできる状態を残しておく必要がある。 ポータルサイトを開放するのではなく、ポータルサイトを自社でコントロールすることではじめて、 様々な企業との提携の話の切り札として使うことが出来る。これをはずすことはナンセンスだ。

次に、映像配信のプラットフォーム提供会社の戦略であるが、これだけ乱立している状態になると かなり難しい状況であることに変りはない。ここで重要なのは、通信会社との提携関係を築き、 通信会社のネットワークインフラを安く借り受けられる状態を作ることで、強固なネットワーク インフラを早期に格安に築くことだ。これにより、利益率と信頼性をアップさせて、なおかつ、 通信会社の作るポータルサイトの配下に自社内でコントロールできるような領域を確保することだ。 これにより、自社の配信プラットフォームに顧客を呼び込む材料を増やすことが出来る。

更にその次であるが、コンテンツ制作会社の戦略の場合には、もう少し考える必要がある。 まず、自社ブランドで配信する場合と、そうではなく他社のブロードバンドポータルに配信 する場合だ。自社ブランドで配信する場合には、配信プラットフォームを借り受け、自社リスク で事業を立ち上げることになる。この場合には、CDNを持つ企業のコンサルティング等の支援 が必要になるだろう。他社のポータルにコンテンツ供給のみを行う場合には、配信プラットフォーム 会社もしくは、通信会社の運営するポータルサイトにコンテンツを供給することになる。

このときには、他社がコスト負担をする構造が最も妥当であるが、それ以外にもプロモーションを 仕掛ける為にコンテンツ制作会社が自らコスト負担をする場合などのオプションも十分に考えられる はずである。